研究概要 |
8月11日-8月18日,韓国のソウルで開催された第8回国際生態学会議(VIII INTECOL)に参加し,シンポジウム「環境変化と植物」を組織して座長を務め,「環境変化における植物成長のモデル化」について発表,世界の植物生態学者と交流,研究成果の交換を行った.あわせて韓国各地の植生の視察を行った.9月7日-9月14日,ウランバートルのモンゴル科学アカデミー植物学研究所,モンゴル国立大学,国立畜産研究所を訪問,これまでの共同研究の成果のとりまとめの作業および研究集会「モンゴル草原の植物群落のダイナミックス」を開催した.今年度も現地研究者と協力のもとに各調査地において,さきに設置した柵内外の植物群落の種組成を記録したうえ,群落の層別刈り取りを行った.いずれの調査地でも柵内外の群落構造には差がみられなかったが,異なる気候条件をもつ草原では群落の構造が明らかに異なった.乾燥気候のバヤンウンジュールでは,草原群落の構造が比較的湿潤なパルチザンとトゥメンツォクトの調査地に比べて,気候の年々変動に比較的敏感に反応する傾向が見られた.また聞き取り調査の結果からは,森林草原では,市場に依存した定住牧畜が営まれ,典型草原では,草原の生産力に依存し,収容力範囲内での遊牧が営まれていること,乾燥気候では草原の収容力が低く,気候の年々変化が地元および周辺地域の遊牧に大きな影響を及ぼしていること,典型草原に比べると乾燥草原では,同じ数の家畜を養うため,遊牧の年間移動距離が有意に長いことなどが明らかになった.
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