研究概要 |
インドネシア国スマトラ州内のウルガド地区とシピサン地区内での9箇所の既設調査区(計7ヘクタール)で、毎木調査を実施した.内3箇所の調査区は,観測開始から21年目,20年目,18年目にあたる.赤道直下の広い標高帯に分布するこれら調査区での長期モニタリング資料は,熱帯雨林の林分動態および気候変動への反応を解明する上で貴重な資料となる.本研究の最終年度である14年度の観測資料を含めて解析すべく,資料を整理している. 加速化しつつある近年の森林伐採が林分構造に与える影響評価を目的とし,7年前から熱帯里山林の林分動態を追跡調査している.今年度は,近年の急速な変化を把握するため,これまで観測区間を集落中心から2kmであったのを4kmまで延長し、最遠距離に位置する4km地点に1ヘクタールの調査区を設けた.この一連の調査から,里山林の林分構造を後背地である発達した森林との関連から位置づけることができ,また急速に拡大しつつある伐採活動を把握するうえでの有効な資料を得ることができた. 現地共同研究者が所属するアンダラス大学付属演習林内に2000年7月にテンシオメータを設置し自動観測を続けてきたが,2001年2月ごろに観測センサーが故障した.2001年10月に新たなセンサーに取替え観測を再開させた.まだ1年を通じたデータを得ていないが,熱帯雨林においても土壌含水率が大きく変動していることが明らかであり,ENSOによる異常乾燥が発生した揚合,含水率がどこまで低下するか観測できることを期待している.この資料は雨林生態系の機能解明に貴重な資料となる.
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