研究概要 |
2002年9月から11月の間,研究代表者および2名の研究分担者らが延べ4ヶ月・人にわたり,計10箇所の既設調査林区(約10ha)で毎木調査を行い,林分動態の状況を観測した.近年インドネシア全土で違法伐採が拡大しつつあるが,本研究の固定調査区においても固定調査区の一部が被害を受けていた.とくに,Ulu Gadut地区で被害が大きく,本計画期間内に調査区内で計2haの林分が皆伐された.しかし,22年前から継続調査しているPinang Pinang調査区は残存しており,22年間分の林分動態に関する資料を収集できた.今回の調査において,この調査林分において1995年に発生した強風による0.1haの撹乱地での森林再生状態を詳査することができた.その詳細は2003年3月に開催される日本生態学会第50回大会(つくば)で発表を予定している.ウルガド地区に隣接したアンダラス大学附属演習林で,テンシオメータを用い,土壌含水率を1時間間隔で観測している.センサーのトラブルで2ヶ月間のみの資料しか回収できなかったが,土壌深度および降雨タイミングとの関連性から解析可能な資料であることを確認した.また,本演習林では,25個のリタートラップを設置し,毎月に2回の頻度でリターを回収し,その器官別枯死速度の観測を続けている.これと平行して,演習林内の林木96個体について,デンドロメータによる肥大成長速度の観測も,月2回の頻度で観測している.すでに,対象種の肥大成長速度の1年を通じての変化に3パターンがあることをすでに確信している.これらの資料をもとに季節的に気象変化に対する林木の反応についても,詳しい解析を予定している.
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