研究課題/領域番号 |
12575008
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
馬渡 駿介 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50096913)
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研究分担者 |
藤田 敏彦 国立科学博物館, 動物研究部, 主任研究官 (70222263)
馬場 敬次 熊本大学, 教育学部, 教授 (20038227)
西川 輝昭 名古屋大学, 総合博物館, 教授 (50126885)
松井 正文 京都大学, 人間環境学研究科, 教授 (40101240)
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キーワード | 日本産動物標本 / デーデルライン / ホヤ類 / 棘皮動物 / 魚類 / 甲殻類 / 刺胞動物 / 苔虫動物 |
研究概要 |
おやとい外国人教師として明治12年(1879)から2年間日本に滞在したルートウィヒ・デーデルラインが収集した動物標本が、ヨーロッパの各博物館で見つかった。そこで、日本の分類学専門家が当地を訪れて調査・再記載を行ない、標本の分類学的位置を確定するのが本研究の目的である。昨年までの調査で判明している成果を整理し、研究分担者および研究協力者は、自分の専門とする動物群の標本が所蔵されている博物館に必要日数滞在して標本調査を行った。具体的成果は以下の通り。 刺胞動物関係 : ベルン博物館では、デーデルラインが収集して、Th.Studerが新種発表した日本産八放サンゴ類6種の内5種のタイプ標本を確認した。コペンハーゲンではMortensenとSuenssonの、ミュンヘンではDofleinとHabererの収集した標本を中心に日本産八放サンゴ類多数(タイプを含む)を確認した。しかしデーデルラインの標本は見つからなかった。 ホヤ類関係 : アムステルダムおよびハンブルグ博物館の調査により、これまで1種とされてきたベニボヤ属の日本産種が6種に分かれることがわかり、revisionが可能になった(うち2種が新種。古い学名の正体を探索しそれを整理するのに時間を要した)。この件は、9月29日から10月3日までイタリアのナポリ沖Ischia島で行なわれたホヤの国際シンポジウムで講演済み。 魚類関係 : ウィーン自然史博物館とミュンヘン動物収蔵庫で日本産魚類標本を調査した。ウィーン自然史博物館には391個体の魚類標本があり、260本の標本瓶の中に保存されていた。その中に88タイプ標本が含まれていた。それらは18目、77科、126属、180種(タイプ35種)に査定された。調査された魚類は、登録番号、採集・登録記録、Steindachner and Doderlein(1983-1987)による記載の有無、今回の査定結果、和名、体長、全長を記録し、写真撮影した。ミュンヘン動物収蔵庫の日本産魚類標本はデーデルラインが採集したものでないことが判明した。 科学史関係 : デーデルラインの助手をつとめた高松数馬の経歴が判明した。Doderleinと日本人との文通については、手紙の翻訳に多額の費用がかかることが判明し、現在検討中である。
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