研究概要 |
[分類と分布]台湾からTanakia himantegusおよびRhodeus ocellatus ocellatusが採集された。台湾と上海のT.himantegusを比較した結果、台湾産はT.himantegus himantegus、上海産はT.himantegus chii に分類されることが判明した。韓国産の未記載種Rhodeus sp.は、新種Rhodeus pseudosericeus sp. nov.として発表された(Arai etal,2001)[発生]:韓国産のRhodeus pseudoseruceusと中国産のRhodeus spinalisの個体発生が初めて明らかにされた。前者では孵化初期の仔魚の卵黄嚢先端に凹部が存在するととと背鰭の稚魚斑(黒色色素胞叢)の形態が菱台形状、後者では孵化初期の仔魚の卵黄嚢先端が太くて丸いことと背鰭の稚魚斑(黒色色素胞叢)の形態が円形状であることが種としての特徴であった。[核型]:C-バンド分析によりRhodeus ocellatus ocellatusに逆位によって生じたと考えられる染色体多型が認められた。Acheilognathus rhombeusに雌2n=44、雄2n=45の性に関わる種内の多型が韓国内の広い地域で定着している可能性が示唆された。また、タナゴ類では、逆位、縦列結合、動原体融合などの核型進化が推定されたが、C-バンド異質染色質が染色体変化に大きく関わることが推定された。[遺伝子分析]:Rhodeus ocellatus kuruneusのミトコンドリアDNAは16,674bpsの環状DNAで、遺伝子の配置や向きなどの基本構造は一般的な脊椎動物と同様であった。また、中国、韓国、台湾、日本産の計37種・亜種についてミトコンドリアDNAのcytochrome bの全領域(1,141bps)について塩基配列の解析を行った結果、タナゴ亜科は、大きくAcheilognathus cladeとTanakia-Rhodeus cladeの2つから構成され、特にAcheilognathus cladeの単系統性は極めて強く支持された。
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