アジアの民族、特に少数民族の遺伝情報を遺すことを目的とし、細胞バンク・DNAバンクを確立する試みをした。現地調査はインドネシアのスンバ島民、タイ漂海民、タイ狩猟採集民を対象とした。遺伝試料収集もさることながら、言語・疾病・説話・風習についても調査を行った。 1)狩猟採集民マニ族についてはタイ南部の調査を2カ所、ヤラ地区とパレアン地区にておこなった。 2)タイ南部の漂海民については、ビルマを中心とするモーケンとマレーシアを中心とするオランラウトがタイ南部アンダマン海側で分布し、プーケ島において住み分けていることを確認し、人口学的調査を開始した。 2)インドネシアではアジアとオセアニアを結ぶ小スンダ列島のスンバ島の調査をおこなった。また、ティモール島民の試料を得たので細胞株化を行い、保存すると共に、一部の遺伝子の解析を行った。 3)得られた試料と過去に収集した試料をもとに、SDF1、MC1R、AIM1、p53遺伝子について、多型解析をおこない、マップを作成した。 4)民族疫学的視点から、タイ南部に高発するTリンパ腫について検討し、簡便かつ迅速な検査法を確立した。
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