研究課題/領域番号 |
12575020
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
眞板 秀二 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (50015864)
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研究分担者 |
佐藤 政良 筑波大学, 農林工学系, 教授 (70021722)
木村 正信 岐阜大学, 農学部, 助教授 (30108063)
杉山 博信 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60015807)
佐久間 泰一 筑波大学, 農林工学系, 講師 (10133589)
小池 正之 筑波大学, 農林工学系, 教授 (60032306)
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キーワード | タイ / パイナップル / 土壌侵食 / 衛星画像解析 / 土地利用 / 農地 / 森林 |
研究概要 |
基礎調査グループ、森林・流域グループ、士地利用グループ、農業機械グループに分かれて現地調査を行うとともに、各調査結果の総合的検討から以下の点を明らかにした。 1.衛星画像解析、聞き取り調査などから、1970年代初めまではカレン族による持続的な焼畑耕作は行われてはいたが、対象流域は森林(2次林)でほぼ被覆されていたこと、この地域に、30年前から移住者による農地開発がはじまり1990年には森林面積は60%台に減少したこと、1990年からの10年間は森林面積に大きな変化はないが、儲かる作目の一つであるパイナップル(タイが世界生産の第一を占める)は、その畑を生産適地である傾斜地(15度ぐらいまで)に拡大させていることなどが判明した。パイナップル畑(P)では森林地(F)に比べて土壌浸透能が小さく(例えばP:28mm/hr, F:160mm/hr)、飽和透水係数も1オーダー小さいことなどから、森林地を農耕地に変えると表面流が発生し易くなり、その結果土壌侵食が起こりやすくなる。侵食の激しいパイナップル畑(傾斜:6-10度)では69〜163t/ha/yrという大きな年間侵食量を示した。土壌流亡に伴う生産性低下によりパイナップル畑は放棄され斜面の森林地に新しい畑を求めるため、パイナップル畑は斜面を這い上るという傾向をもつことが判明し、部分的に流域荒廃が進行していると考えられた。 2.空中写真判読および衛星画像解析から流域スケールで土砂環境の変化をみると、30年前の森林から農耕地への開発は土砂生産を活発にさせ、河道に流入した土砂は河道形態に大きな変化を与えるとともにその影響が現在も続いていることが判明した。一方、この10年の農業活動は局地的には激しい土壌侵食をもたらすものの、その影響は河川には及んでいない。これは、この間活発な農業活動のために非常多く造られたタメ池が影響しているものと考えられた。 3.農村社会構造、農民意識の変遷に関する調査を通して、畜力依存農法から現在のコントラクタ方式農法に至る農業技術受容構造の枠組みを明らかにした。 4.パイナップル放棄畑の植生調資結果からみると、荒廃地修復のためには初期成長の早い郷土樹種を使ったフレイムワーク・スピーシーズ・メソッドが有効と考えられた。 5.今年度は最終年度であったので、タイのバンコクで研究成果に関するワークショップを行った。タイおよび日本の17機関から78人の参加があり、その内容をProceedingsとして公表した。
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