研究課題/領域番号 |
12575023
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
石松 惇 長崎大学, 水産学部, 教授 (00184565)
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研究分担者 |
竹田 達右 九州大学, 農学部, 助教授 (30091367)
征矢野 清 長崎大学, 水産学部, 助教授 (80260735)
田北 徹 長崎大学, 水産学部, 教授 (30039721)
河口 定生 九州大学, 農学部, 助教授 (20091366)
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キーワード | 潮間帯 / Periophthalmus minutus / トビハゼ / オセアニア / 魚類生態学 / 浸透圧調節 / 魚類生理学 / 塩類細胞 |
研究概要 |
2001年7月16日から8月3日まで、オーストラリアのケアンズ、ダーウィンとブルームでトビハゼ・ムツゴロウ類の分布と分布環境に関する調査を行い、ブリスベーンの博物館に所蔵の魚類標本の精査を行った。ケアンズで初めてのPeriophthalmus freycineti標本採集に成功した。ダーウィンでは新種Periophthalmus魚類の分布状況を調べ、形態を検討した。ブルームでは近郊のマングローブ湿地で別の新種Periophthalmus魚類と考えられる1種の標本を採取し、生息状態を記録した。 P. minutusを室温25-29℃、湿度34-68%で完全に水がない状態で飼育すると、6-9時間後に体重が25-30%減少して斃死した。淡水で湿らせたキムタオルの上で飼育すると、2日後から斃死が見られ、5日後には56%斃死した。体全体が200%海水中に常に浸かり、魚が空気を吸える状態で3日間飼育したところ、体重はほとんど減少せず、異常も認められなかった。これらの結果から、P. minutusは潮が来ず地表が乾燥している時、湿度の高い巣穴内で高塩分の海水に浸かることが可能で、水の補給のために高塩分の海水を利用できることが示唆された。 100%海水に馴致したP. minutusの鰓蓋内膜、鰓蓋外膜、胸鰭皮膚における塩類細胞の密度は、天然で100%以下の海水に棲息するP. modestusより著しく高く、特に鰓蓋内膜で高かった(3365/mm^2)。魚を200%海水に移すと、塩類細胞密度は2時間後に多少高くなったが、1週間後にはもとに戻った。一方、塩類細胞の面積は2.5倍以上になり、血漿Na+濃度はほぼ維持された。
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