研究課題/領域番号 |
12575023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
石松 惇 長崎大学, 水産学部, 教授 (00184565)
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研究分担者 |
竹田 達右 九州大学, 農学部, 助教授 (30091367)
征矢野 清 長崎大学, 水産学部, 助教授 (80260735)
田北 徹 長崎大学, 水産学部, 教授 (30039721)
河口 定生 九州大学, 農学部, 助教授 (20091366)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | トビハゼ / ムツゴロウ / 潮間体 / 浸透圧調節 / 塩分代謝 / 塩類細胞 / 生活史 / 生殖周期 |
研究概要 |
オーストラリア産トビハゼ、Periophthalmus minutusの生息地は、潮間帯上部の大潮時のみに冠水する場所にあり、そのため乾季(8月)の調査時の巣孔水の塩分は84±7psuに達した。これに対して、雨季終了時(3月)の塩分は33±5psuと外洋水とほぼ等しい濃度であった。P.minutusは、干出期間中は巣孔に滞在していた。実験的にP.minutusを200%海水と淡水に曝露したところ、200%海水中では塩類細胞のサイズが有意に増大した。淡水中では塩類細胞開ロ部は曝露後短時間のうちに閉塞した。斃死は見られなかった。 P.minutusは、干潟表面がひび割れ塩で白くなる乾期の過酷な環境を、巣孔とその中の高塩分の水を利用して克服していた。P.minutusの干潟表面への出現を規定する第1の環境因子は干潟表面の湿り具合で、泥の水分30%以下では干潟表面に出てこなくなった。第2の因子は泥表面の温度で、33℃までは高温ほど出現数は増加し、それ以上では減少した。第1の要因により、乾期には出現数の遡望リズムが認められたが、雨期には認められなかった。第1の要因が満たされる時は、第2の要因により日周リズムが認められた。また、P.minutusは、昼行性で、干潟の表面が乾燥し干潟に出れなくなると、摂餌しないことが確認された。 ダーウィン近郊の泥干潟において、P.minutusを採集し、生殖腺発達の変化を調べた。乾季には未発達だった生殖腺は、雨季に入ると急速に成長し、1月から2月にかけて最も発達した。その後雨季の終わりの3月に生殖腺は退縮した。本種の産卵は2月の半月小潮時に起こった。以上のことから、本種の成熱は雨季の影響を受けて開始されること、また、その産卵は半月周期で行われることが判った。
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