研究課題/領域番号 |
12575024
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研究機関 | 千葉県立中央博物館 |
研究代表者 |
堀江 義一 千葉県立中央博物館, 分館, 分館長 (40092093)
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研究分担者 |
福島 和貴 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (90114321)
林 紀男 千葉県立中央博物館, 生態環境部, 上席研究員 (60250156)
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キーワード | ブラジル / 土壌菌 / カビ毒生産菌 / マイコトキシン / 日和見感染症 / アスペルギルス症原因菌 |
研究概要 |
平成14年度のブラジル調査は平成14年11月〜12月にかけてブラジルのマットグロッソ州、アマゾナス州、ロライマ州、パラ州の熱帯雨林地帯と」比較のためリオ・グランド・ノルテ州の乾燥地帯の土壌987試料についてカビ毒生産性やヒトに対して日和見感染症の報告されている菌類の分離をレシフェ市のカトリック大学環境科学研究所で行なった。その結果A. flavusは供試試料の33%にあたる323試料、A. fumigatusは31%にあたる309試料、A. neoellipticusは10%にあたる96試料、A. nigerは40%にあたる386試料、A. terreusは36%にあたる359試料、Emericella spp.は2%にあたる15試料、Neosartorya spp.は12%にあたる120試料から分離された。これら高頻度で分離された菌類は食品衛生学的に重要なカビ毒の生産菌であり、ヒトのアスペルギルス症原因菌としても重要な菌類であった。 また、今回の調査でパラ州サンターレンの熱帯雨林の中のコーヒー畑で黄色のカビによるコーヒー豆の自然汚染を発見した。レシフェ市での分離の結果、Aspergillus ochraceusが分離され、A. nigerも認められた。これらの菌類からはochratoxinの生産性が報告されている。世界各地のコーヒーからochratoxinが検出され、一般のヒトの血液中からも広く検出され、腎障害や腎炎の原因となると考えられている。これまでコーヒー豆のA. ochraceusによるochratoxin汚染は知られていたが、コーヒー栽培のどの過程で汚染が起こるかについては明確でなかった。今回の自然汚染の発見とA. ochraceusが土壌中より分離されない事により、A. ochraceusの汚染は圃場で汚染された豆から収穫されず圃場に残された、過熟したコーヒー豆へと汚染が広がると思われる。この発見はわが国に輸入されているコーヒーからも普通にochratoxinが検出されている事実からも極めて重要な発見であった。
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