研究課題
2000年12月16日より2001年1月10日まで、ミャンマー国において、在来家畜ならびに野生の家畜近縁種についての学術調査を行った。カウンターパートのMyanmar Livestock Breeding and Veterinary Departmentを訪問し、共同研究の実施体制についての打合せを行い、在来家畜、近縁野生種ならびに野生小動物種の調査方法や試料採取法についての検討を行った。2000年度の調査地域として、バガン、マグウェ、パコク、マンダレー、タウンジー、シットウェイ、チャイトン、バゴー、カヤンを対照として、ニワトリ(野鶏)、アヒル、在来牛(シャン牛、スイニー、ピャゼイン)、ガヤール(近縁野生牛)、水牛、山羊、緬羊および馬について外部遺伝形質の記載、血液採取、DNAの抽出を行った。ニワトリでは在来種が極めて少なく、殆どが外国より輸入された改良種との交雑であった。乳牛以外のウシならびに水牛は全て役用として利用され、肉用への利用は見られなかった。ミャンマーの家畜集団はアラカン山脈を境に品種が異なっていた。アラカン山脈の西側はバングラデシュの集団に近い傾向を示し、ミャンマーの家畜集団は地理的障壁により分断されていることが示唆された。今回の学術調査では、メンバー全員による学術セミナーを実施し、現地の研究者との研究交流が深められた。また、前田及び山本はミャンマー獣医畜産学会大会にて、家畜の改良ならびに遺伝資源に関しての特別講演を行った。