研究課題/領域番号 |
12575032
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
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研究分担者 |
飯泉 仁 水産総合研究センター, 日本海区水産研究所, 室長(研究職) (00159550)
野島 哲 九州大学, 理学部, 助教授 (30112288)
向井 宏 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00013590)
仲岡 雅裕 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (90260520)
木暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10161895)
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キーワード | 熱帯海草藻場 / 陸起源物質 / 沿岸生態系 / 沿岸堆積物 / ^<15>N同位体 / 有機懸濁物 |
研究概要 |
本年度はこれまでの現地調査で得られた海草も場の生物群集の特性およぴその陸域この草藻場を構成する海草の種類による汚濁や埋没ストレスの違い、海草帯における流れ、け懸濁有機物の動態、海草帯における底生動物群集などである。研究成果としては以下の4点が挙げられる。 1)Ranongの海草帯における透明度が底質からの再縣濁物により低下している原因として、水深、風向・風力、河川水の3つのファクターが関与しているが、海草帯の場所によってこれらの因子の相対的な寄与が大きく変わることが物理量および化学分析のにより明らかにされた。 2)弱光や埋没などの環境ストレスへの対応としての垂直地下茎の長さについて検討したところ、地下茎の長さは環境ストレスとはあまり関係がなく、むしろ海草による地下茎と根系との形態的な関係が種による耐性の違いに寄与している可能性が示唆された。 3)アンダマン海側の海草も場において陸域の河川流入、マングローブ林、人ロ負荷等の異なる環境ストレスを持つ5箇所の海草群集を選び、海草の種類数、現存量の3年にわたる調査を行った。その結果、海草においても懸濁物による透明度の減少、埋没効果などの環境ストレスにより種数は減少することが示されたが、現存量は、どのサイズの海草が卓越するかで決まるため、環境ストレスとはあまり対応しないことがわかった。 4)大型海草であるEnhalusに付着するAnadaraの生態系における役割を評価した。これらの巻貝は、Enhalusの葉上で堆積物面から5-20cmの位置に付着しており、この位置は、実験的に除去して付着を見た場合でも変わらなかった。この海域では底質から20cm以内では堆積物有機物の再懸濁が頻度高く起こっており、懸濁食であるAnadaraの生活場所として適している結果であると推測された。
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