研究課題/領域番号 |
12575034
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山内 徹 三重大学, 医学部, 教授 (80045674)
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研究分担者 |
田 英 三重大学, 医学部, 助手 (70335115)
朴 豊源 三重大学, 医学部, 講師 (50283528)
石川 仁 三重大学, 医学部, 助教授 (50250915)
塚田 進 三重県科学技術振興センター, 保険環境研究部, 主幹研究員
松本 寛 北海道環境科学研究センター, 主任研究員
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キーワード | 環境保健疫学調査 / 中国瀋陽市工業地区 / 大気汚染 / 大気中変異原活性 / 変異原性物質 / 小核試験 / 薬物代謝酵素の遺伝子多型 / 肺癌死亡率 |
研究概要 |
平成14年9月6日より13日間に環境保健疫学調査を、前年度の引き続いて中国・瀋陽市の鉄西区(大気汚染地区)および同市郊外の東陵区(対照地区)で実施した。市内に設置した4台のハイボリウムサンプラーにより大気試料を採集し、変異原活性分析と多環芳香族化合物および金属の分析を行った。 1.ハイボリウムサンプラーは大気汚染の程度と地域特性を考慮して4地点(後述)に設置し、00年9月より02年8月までサンプリングした。毎月第2週の5日間、24時間大気試料を連続採取し、分析まで冷蔵保管し、試料を日本に持ち帰って浮遊粉じん、Ames testによる変異原活性分析と多環芳香族化合物(T-PAH)および金属の分析を行った。T-PAHおよびBaP濃度は冬>秋>春>夏の季節変動が、地域では工業地区>郊外>住宅>幹線道路近傍の順に高かった。変異原性は、採取した全ての試料が菌株、S9mixの添加の有無に係わらず陽性であり、特に、工業地区では500Rev/m3以上の高い変異原活性が見られた。 2.今年度の住民健康調査は、前年度に実施した小核試験のための血液を用いて、薬物代謝酵素遺伝子の多型を、三重大学医学部の倫理審査委員会および中国政府の承認を得て鉄西区(汚染地区)および東陵区(対照地区)について瀋陽医学院内で実施した。前年の小核試験は、鉄西区で僅かに東陵区より頻度が高い傾向を示した。薬物代謝酵素の遺伝子多型は、年齢と地区との関連が見られた。 3.がん死亡統計について1996年〜2000年の瀋陽市のがん死亡統計を遼寧省の保健所から提供を受けた。全がんの年齢調査死亡率をみると藩陽市は日本の死亡率の1.2〜2倍と高く、鉄西区の死亡率は皇姑区の1〜2倍高く、肺がん死亡率瀋陽市全体では日本の2倍(男)〜5倍(女)高かったが、地区間の差はあまりなかった鉄西区では死亡率が低下傾向を、皇姑区ではわずかに上昇傾向を、市全体では上昇傾向を示した。
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