研究概要 |
平成14年度は以下の研究を行った。 1.極限高地生息動物(ナキウサギ、チベットヒツジ、ヤク)の高地適応特性を解明するために、前年度の補充実験を行った。具体的にはヤク5頭について、中国青海省の高原医学実験所(海抜2,300m)で低圧タンク装置を使って、海抜0,2,300および4,500m相当の環境暴露を行った際の肺循環動態の検討およびNO阻害剤(NLA)の効果。さらに高度3,750m地点において、ブタ5頭、ナキウサギ12匹、ラット8匹について肺循環動態の測定とNLAの効果について測定した。 2.自然環境下に生息するナキウサギ概日リズムを測定した。調査地として、中国青海省の省都、西寧から南南西の方向へ直線距離にして275kmにある果洛州瑪沁県の中心の町大武郊外の草原のクチグロナキウサギの生息地(標高3730m)を選んだ。野生のクチグロナキウサギを捕獲し、ケタラール(50〜100mg/kg体重)麻酔下に腹腔内に体温測定用テレメータを埋め込んだ。テレメータとしては(1)CHP-IMP、重さ:7.0g大きさ:3.3×1.9×1.0cm、電池寿命:約1ケ月、米国テロニクス社製、(2)M1130、重さ:2.1g、大きさ:2.7×1.0×0.6cm、電池寿命:25〜50日、米国アドバンストテレメトリーシステム(ATS)社製の2種類を用いた。温度に応じた周波数のパルス音がテレメータから発信され、その電波をアンテナで受信する。各周波数チャンネルを設定した時間間隔で順番にスキャンして受信し、パルス間隔(m sec)データをデータロガに記録できる電池(直流12V)駆動の受信機兼ロガ(TR-5、米国テロニクス社製)に記録した。平成14年度は19匹のクチグロナキウサギにテレメータの埋め込み測定した。
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