研究課題/領域番号 |
12576004
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青笹 克之 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30115985)
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研究分担者 |
本行 忠志 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90271569)
高桑 徹也 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40244933)
冨田 裕彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60263266)
古謝 静男 浦添総合病院, 医員(臨床研究)
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キーワード | 鼻腔リンパ腫 / NK / T細胞 / 遺伝子変異 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / 中国 / 韓国 / 日本 |
研究概要 |
遺伝子異常の概要 (1)北京の19例と本邦の23例の癌抑制遺伝子であるp53の変異をエクソン5-8について、PCR-SSCP法・直接シークエンス法を用いて検討した。42例中20例(47.6%)に変異がみられ、その6割はミスセンス変異であった。変異の頻度は北京では63%、本邦では39%と地域差があった。 (2)c-kit遺伝子のエクソン11,17には造血腫瘍、腸管間質細胞腫瘍において変異がみられることが報告されている。この変異により、c-kit蛋白はリガンドなく活性化することにより腫瘍発生に至ると考えられている。 そこで北京の14例と大阪の9例につき、c-kit遺伝子変異を調べたところ、中国例では10例(71.4%)に大阪例では2例(22%)に変異がみられた。この変異遺伝子及びwild typeのc-kit遺伝子を293T細胞にトランスフェクトしたところ、いづれもリガンド(SCF)なしには構成的活性化あるいはリン酸化がなかったことから、本疾患にみられた変異は機能獲得性でないことが判明した。 (3)中国東北部にある中国医科大学の20症例につき、p53(エクソン4-8)、c-kit(エクソン11,17)、k-ras(エクソン1,2)、β-catenin(エクソン3)遺伝子の変異を調べた。p53の変異は40%にみられたが、本邦例に比べてエクソン4の変異の頻度は有意に低かった。c-kit遺伝子変異は5%と北京例に比べて有意に低い。k-ras遺伝子変異は5%、β-catenin変異は30%にみられた。 以上述べた如く、鼻腔NK/T細胞リンパ腫の癌遺伝子、癌抑制遺伝子変異の頻度およびそのパターンには地域間で相違がみられるようである。現在、更に韓国およびインドネシアの症例について追加検討中である。
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