研究課題/領域番号 |
12576011
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
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研究分担者 |
實方 剛 鳥取大学, 農学部, 助教授 (20205991)
谷口 孝喜 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40094213)
小島 和暢 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20264517)
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キーワード | ロタウイルス / B群 / 成人 / CAL-1 / インド / バングラディシュ |
研究概要 |
3年間にわたる本研究の第2年目となる今年度、すでにB群ロタウイルスの疫学調査が進められているインド、バングラデシュ、タイに加え、新たに中国(武漢市衛生防疫所)およびミャンマー(国立衛生研究所)においても調査を開始した。今年度の成果として最も大きかったのは、バングラデシュにおいてB群ロタウイルスが検出されたことである。本共同研究を通じ、2000年3月よりバングラデシュ・マイメンシン市内の病院にて成人の下痢検体を採取、解析していたところであるが、2001年6月迄に集められた約900検体の中から12検体にB群ロタウイルス特有のRNAパターンが認められ、PCRでもB群ウイルスであることが確認された。また2001年4-6月に採取された小児下痢便からも2検体でB群ロタウイルスが検出された。現在これらのウイルスの遺伝子配列を決定し、他のヒトあるいは動物B群ロタウイルスとの遺伝学的系統関係についての解析を始めたところである。主として解析しているのは30歳男性患者の検体で見つかったウイルス株Bang373であり、ウイルス構造蛋白VP4,VP7の遺伝子配列を決定した。Bang373のこれらの遺伝子はインドで見つかったCAL-1と同様に、動物ウイルスに比してヒト由来B群ロタウイルスに高い一致率を示した。しかも中国のADRV株よりもCAL-1株に極めて近いことが判明し、これらのウイルスが検出された場所の地理的な近さを考えると、インド東部からバングラデシュに至る南アジア地域には中国のADRVとは異なる、類似したB群ロタウイルスが分布していることが示唆された。今後、複数のウイルス株について、VP4,VP7遺伝子以外の遺伝子についても配列を決定し、バングラデシュでにおけるB群ロタウイルスの由来について更に検討したいと考えている。
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