研究課題/領域番号 |
12576012
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
清水 博之 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (90270644)
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研究分担者 |
永田 典代 国立感染症研究所, 感染病理部, 研究官 (30270648)
網 康至 国立感染症研究所, 動物管理室, 主任研究官 (10202699)
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キーワード | エンテロウイルス / エンテロウイルス71 / 手足口病 / 脳炎 / 国際情報交換 / マレーシア:中国:タイ:ベトナム |
研究概要 |
1.東アジアで流行しているエンテロウイルス71の分子疫学的解析 日本を含む東アジア地域における死亡例を含む重篤な中枢神経疾患症例および手足口病患者から分離したエンテロウイルス71(EV71)について分子疫学的比較解析を行なった。本年度は中国本土・タイの手足口病患者から分離したEV71の解析を行うことが出来た。VP4およびVP1領域の塩基配列を用いて分子疫学的解析を行なったところ、2種類のgenotypeのEV71が伝播していた。昨年までの結果を併せると、東アジア地域の広い範囲で、異なる2種類のgenotypeのEV71が伝播していることが確認された。日本のEV71臨床分離株の解析によると1970年代から2種類のgenotypeのEV71が伝播していたことが明らかとなった。モンゴル、ベトナム等これまでにEV71による手足口病流行が報告されていない地域からの検体収集を試みたが、サーベイランス体制が確立していないため適切な臨床検体が得られなかった(清水)。 2.エンテロウイルス71神経病原性のカニクイザルモデルを用いた解析 EV71分離株の病原性を比較しEV71の神経向性と病態をより明らかにする事を目的として、神経病原性が比較的強い株を用いて、カニクイザル感染モデルによる解析を試みた。EV71をカニクイザルに脊髄内あるいは静注により接種し、麻痺・運動失調等症状の発現、病理学的解析およびウイルス抗原の検出を行った。本年度はおもに、静脈内接種の結果から、EV71の主な神経病原性は脳幹部脳炎であり、運動神経細胞のみならず、知覚野における錐体細胞も感染が見られることを示した。EV71感染カニクイザルにおける神経症状発現および病理像は、マレーシアや台湾で認められたEV71脳炎患者の病態をよく反映しており、EV71感染モデルとして有用であることが確認された。(永田、網、清水)
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