研究分担者 |
中村 雅彦 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30324916)
石井 昇 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10168172)
松田 均 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20294217)
大森 裕 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80335439)
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研究概要 |
平成13年10月20-22日にイスタンブールで開催された第1回Multinational Middle-Eastern Conference on Emergency Medicineにおいて台湾の共同研究者と平成12年度の研究結果について検討を行った。その結果、WADEM(World Association for Disaster and Emergency Medicine)の提唱するUtstein Templateをもちいて、阪神・淡路大震災と台湾集集大地震における初期災害医療対応についての評価を試みる計画が了承され、平成14年2月20-22日に福岡で開催された第6回Asia-Pacific Conference on Disaster and Emergency Medicineにおいて、その結果を発表した。 Utstein Templateは、外傷での重症度評価法におけるAISのように、災害による医療対応能力への被害のひどさをスコアリングする方法で、各項目の最高点は75点で、最も被害甚大であることを表す。本年度行いえた分析はあくまで災害初期に的を絞ったpreliminaryなものではあるが、このtemplateを実際に使った災害分析の試みは史上初めてで、以下のことき興味深い結果を得た。 すなわち、医学(医療)的指標におけるスコアを、公衆健康面、医療機関への影響、災害への準備、災害対応能力の低下の面からつけると、阪神・淡路大震災ではそれぞれ75点,25点,17点,48点,41点、台湾集集地震ではそれぞれ48点,13点,6点,12点,9点で、それぞれの平均点は前者で41.2点、後者で17.6点を示した。以上より、Utstein Templateを用いた科学的なスコアリングによっても、震災直後の医療対応において上記のいずれの観点からも、阪神・淡路大震災の場合のほうが、台湾集集地震におけるそれに比して被害甚大であったことが客観的に示され、前年度での解析結果と矛盾しない結果であった。
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