研究概要 |
今回,我々が作製したcDNA microarrayを使用し,ウガンダ由来のHIV患者,特に病態進行に伴って,免疫動態がどのように変化するかを解析したので報告する.患者対象は2000年10月より2001年1月までに,ウガンダのJoint Clinical Research Centerを受診したHIV感染者6名を解析した.6名の内訳は,no.21(healthy donor : CD4=1286/μ1), no.33(CD4=199/μ1), no.40(CD4=186/μ1), no.49(CD4=484/μ1), no.58(CD4=/160μ1), no.137(CD4=86/μ1)である. 対象者から末梢血単核球(PBMC)由来のRNAを抽出し,これを増幅してDNA arrayに使用した。検索する遺伝子は,SAGE法でactivated Th1-cells, activated Th2-cell, activated CD4(+)cellに優位に発現している遺伝子と免疫系にとって重要と思われる遺伝子、計約800個についてDNA arrayにより解析した。結果は、1.IL-2, 4, 5, 6やRANTES, MIP1-α, βなどの炎症性サイトカインやケモカインはCD4数が減少すると相関してsignal強度も減少していた.2.CD4<200の群では,他2つの群に比較してCD3Z antigen, CD1C, CCR10, IL15の発現が強かった。系統樹解析では,AIDS患者は独立したクラスターを形成しており,HIV陽性者/健常者と異なる遺伝子発現パターンを形成していた。 今回,我々はHIV感染者において免疫動態を調べるためにDNA arrayで解析したところ,病態進行に伴ってgene expression panelが異なる所見が得られた。本方法はHIV感染者の免疫病態の解析に有用であることが示唆される。
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