糖尿病関連遺伝子の多型性とその糖尿病発症への寄与率をインドネシアの糖尿病患者において明確化するために、平成12年度は共同研究チームを結成して平成12年7月〜8月及び12月にインドネシアに渡航し、以下の成果を得た。 【成果】 1.目的地域であるジョグジャカルタ市のみならず、スラバヤ、スマラン、バンドン、ジャカルタ、マカサル市の各国立大学病院の代謝・内分泌専門医師からの血液試料の提供を依頼した。その結果、ジョグジャカルタ市のGadjah Mada大学は勿論のこと、スマラン市のDjokomoelijanto教授及びマカサル市のAdam教授から試料提供に前向きな回答を得た。 2.Gadjah Mada大学において内科医にDNA抽出方法技術を指導し、研究方法の統一をはかった。 3.Gadjah Mada大学附属病院より得られたDNA試料を神戸大学医学部研究室に持ち帰り、Genornic DNAを調整した。 4.現在までに得られている少数の試料での結果では、ミトコンドリア遺伝子の3243変異の頻度は日本人糖尿病患者に比べて少なく、インドネシアの糖尿病遺伝子背景が日本のそれとやや異なる可能性が示唆されている。 【今後の研究の展開に関する計画】 1.更に多数の試料提供が必要であるので、引き続き各研究機関を訪れ、協力依頼をする。 2.インドネシアにおける糖尿病関連遺伝子の糖尿病発症への意義を考察するために諸民族の比較検討が必要であり、アジアはもとより世界各地のDNA試料を得るように努める。 3.見い出された遺伝子背景をもつ耐糖能異常者群への発症予防や、疾病の進展予防の介入を遺伝子解析と平行して平成13年度から進める。
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