インドネシア糖尿病患者における糖尿病関連遺伝子の多型性とその糖尿病発症への寄与率を明らかにするために、他地域の糖尿病患者との比較が重要と考え平成13年度は5月に中国、6月にボリビアを訪ね、試料採取の要請を行った。また、インドネシアのイリアンジャヤ州、スラウェシ島、バリ島での試料入手のための訪問も施行した。さらにインドネシアの隣国のパプアニューギニア住民の肥満・糖尿病関連遺伝子多型について第11回日韓糖尿病シンポジウム(韓国釜山市)にて発表した。 [成果] 1.試料収集のため上記の地域を訪問し、前向きの回答を得た。また、イリアンジャヤ州ではDNA分析のための試料を入手した。ジョグジャカルタ市でも昨年度に引き続き血液試料を入手した。 2.イリアンジャヤ州の試料は神戸大学医学部研究室に持ち帰り、genomic DNAを調整した。 3.ジョグジャカルタ市の試料は神戸大学医学部研究室でDNA抽出中である。 4.インスリン抵抗性の指標の一つとして、BMI、及び携帯型内臓脂肪計による内臓脂肪量の測定を行い、遺伝子多型との関連を知るためのデータを得た。 5.パプアニューギニア島民におけるDNA解析では、インスリン抵抗性を生じる肥満とUCP-3遺伝子の-55C→T変異やUCP-1遺伝子の-112A→C変異とは関連がなかったが、PPARγ2遺伝子のPro12Ala変異頻度はミクロネシア住民より低く、肥満・糖尿病への遺伝素因を有することが示唆されている。 [今後の研究の展開に関する計画] 1.インドネシアにおける糖尿病関連遺伝子の意義を検討するために諸民族の比較検討が必要であり、引き続き世界各地のDNA試料を収集するため諸研究機関を訪れ、協力依頼する。 2.得られた試料のDNA解析を行い、インドネシア住民における糖尿病関連遺伝子と糖尿病発症との関連を考察し、本課題研究のまとめを行う。
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