研究分担者 |
小竹 聡 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (00186694)
小野江 和則 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (40002117)
猪子 英俊 東海大学, 医学部, 教授 (10101932)
陳 進輝 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (90236844)
笹本 洋一 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (40241327)
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研究概要 |
炎症性眼疾患の中でもぶどう膜炎は難治で失明率が高い。今回トルコのベーチェット病の疫学調査を行ったところ、男性患者に失明率が高かった。しかし、女性患者の頻度が徐々に増加していることが判明し、中東地域と東アジアの差異は減少しつつあった。一方、日本、ギリシャ、イラン、イタリア、およびサウジアラビアのベーチェット病患者を対象として、以前から収集中の患者血液サンプルを用い、HLA-B51サブタイピングをPCR-sequence based typing法により行った。その結果、HLA-B51頻度は日本人で59.4%,ギリシャ人で75.9%,イラン人で62.1%,イタリア人で71.4%,サウジアラビア人で76.9%であった。これらはいずれの人種でも正常対照より著明な有意の高頻度を示し、人種をこえて共通していた。しかも、これら地域の高いHLA-B51頻度は欧米の白人種の低い頻度とは明らかな違いを示していた。次にHLA-B51アリルタイピングの結果を見ると、日本人ではHLA-B51陽性者中98.2%がHLA-B^*5101アリルであった。これは他の人種でも同様であり、ギリシャ人では77.3%,イラン人では91.7%,イタリア人では73.3%,そしてサウジアラビア人では90.0%がHLA-B^*5101であった。ただし、ギリシャ人、イラン人、イタリア人、サウジアラビア人では日本人には見られないHLA-B^*5108が8.3%〜39.5%に陽性であった。日本人の1.8%はHLA-B^*5102であり、これが中東地域におけるHLA-B^*5108に相当するものと考えられた。これらの成績は我々がシルクロード病と命名したベーチェット病の本態を分子遺伝学的発症機構の側面から裏付けるものであり、今後さらに検索をすすめてゆく予定である。
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