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2003 年度 研究成果報告書概要

ロックとバークリにおける観念の論理空間の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 12610003
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 哲学
研究機関京都大学

研究代表者

冨田 恭彦  京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (30155569)

研究期間 (年度) 2000 – 2003
キーワード観念 / 観念説 / ロック / バークリ / 観念論 / 自然主義 / 物そのもの / 心像論
研究概要

われわれは、日常的に、直接実在論的視点から、様々な経験的対象を扱っている。ところが、その経験的対象とそれに対するわれわれの知覚に関して、ある種の「自然学」的疑問が生じる。そして、それらの疑問を解決する一つの策として、ロックの場合、一次性質とそれに基づく能力のみを備えた物そのものが、仮説的に措定されることになる。ところが、一旦ものそのものが新たに措定されると、物としての実在性は、経験的対象から物そのものに移譲されるので、経験的対象を「物」と呼び続けるのは、厳密には不適切であることになる。そこで、厳密な議論をしようとする際には、経験的対象及びその諸性質に対して、別の呼び方が必要となるが、そこでロックが使用したのが、「観念」という言葉であった。こうして、もともと外的な存在であった経験的対象とその諸性質は、物そのものがその向こう側に措定されるに及んで、内的な「観念」として、他の内的なものとともに、心の内なる観念の世界に位置づけ直されることになる。こうして、物そのもの、観念、心からなる、ロックの三項関係的観念説の自然主義的枠組みが、形成される。
バークリの観念論は、ロックの観念説の自然主義的論理に依存しながら、二重の意味で、それを「歪ませる」ことによって形成されているとみることができる。まず、彼の観念論はその前提を結果的に否定しており、その意味で、それは矛盾を含んでいる。次に、バークリは、ロックの観念説において概念的思考と調和している心像論的思考を不適切に使用することによって、ロックの物質論が矛盾していることを、不当に強調する。それゆえ、バークリの観念論の論理を十全に捉えるには、これらの基本問題を再考する必要がある。

  • 研究成果

    (18件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (18件)

  • [文献書誌] 冨田 恭彦: "心像論的ロック解釈の再検討"思想. 920号. 78-98 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 冨田 恭彦: "バークリの観念説の矛盾"アルケー. 9号. 15-25 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 冨田 恭彦: "バークリ思考-ロックとの比較"思想. 929号. 99-116 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 冨田 恭彦: "バークリ思考(II)-物質否定論の諸前提"思想. 936号. 41-63 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "Locke, Berkeley, and the Logic of Idealism"Locke Studies. 2. 225-238 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "Locke, Berkeley, and the Logic of Idealism II"Locke Studies. 3. 63-91 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 冨田 恭彦: "クワイン先生を回顧して-遅ればせの追悼文"理戦. 75号. 60-83 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "Inquiries into Locke's Theory of Ideas"Hildesheim, Zurich & New York : Georg Olms Verlag. xviii+ 212 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 冨田 恭彦: "科学哲学者柏木達彦の番外編-翔と詩織、あるいは、自然主義と基礎づけ主義をめぐって.の巻"ナカニシヤ出版. 242 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "The Imagistic Interpretation of Locke, Reconsidered"Shiso. 920. 78-98 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "A Contradiction in Berkeley's Theory of Ideas"Arche. 9. 15-25 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "Berkeley Reconsidered: A Comparison with Locke"Shiso. 929. 99-116 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "Berkeley Reconsidered II : The Premises of Immaterialism"Shiso. 936. 41-63 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "Locke, Berkeley, and the Logic of Idealism"Locke Studies. 2. 225-238 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "Locke, Berkeley, and the Logic of Idealism II"Locke Studies. 3. 63-91 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "Professor: Quine in Retrospect: A Belated Eulogy"Risen. 75. 66-83 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "Inquiries into Locke's Theory of Ideas"Hildesheim, Zurich & New York: Georg Olms Verlag. xviii+212 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Yasuhiko Tomida: "Kugaku-tetsugakusha Kushiwagi Tatsuhiko no Bangai-hen"Kyoto : Nakanishiya-Shuppan. 242 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 2005-04-19  

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