1哲学一般との関連で。中国社会科学院において「人為と自然-1920-30年代におけるジョン・デューイと三木清」と題する研究発表を行い(平成12年8月29日)、ジェイムズと並ぶプラグマティズムの代表者であるデューイが中国の「生命哲学」を中国人自身の視点から理解しようとしたこと、その哲学の自然環境に対する謙虚さが西洋文化の過剰な理論的・実践的能動性に歯止めをかける効果がある点を評価したことを明らかにした。 2臨床哲学との関連で。(1)中村雄二郎氏の哲学をめぐるシンポジウム(関西学研都市・国際高等研究所、平成12年12月9日)において、同氏の「臨床の知」との対比で、大阪大学を中心に展開中の臨床哲学が徹底的に現場に根ざし、現場と対話する知であることを明らかにしたうえで、それを人間論・行為論・コミュニケーション論の諸点から解明した。 (2)ソクラテス哲学協会(ドイツ)主催の「ソクラテス的対話」(平成13年2月23-26日、ヴュルツブルク)に参加し、哲学的権威を持ち出すことなく自分の理性に基づいて思考し、相互に耳を傾けるグループワークの方法論を改めて習得し、また抽象的な原則を事例に適用することを避ける臨床哲学の実践についてドイツ語で報告した。(3)神戸市看護大学で行われたソクラテス的対話に参加し、看護学生たちが他者体験をいかに言語化するかを詳細に知ると同時に、グループワークの中でその言語化にコミットすることができた。 3看護理論・看護哲学との関連で。(1)日本赤十字看護大学哲学研究会(平成12年11、12月)に参加し、システム論を中心とする看護の捉え方について哲学的理論の観点からコメントとし、また臨床哲学の現場論・ケア論を紹介して、より看護実践に密着しつつ看護の内部的視点を超える理論の可能性について意見を交換した。(2)兵庫県立看護大学における看護事例検討会(毎月)に参加し、「癒しの哲学」に関する特別講義を行った。
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