研究課題/領域番号 |
12610005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
能川 元一 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 助手 (10283714)
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研究分担者 |
河野 哲也 防衛大学校, 助教授
中村 雅之 九州工業大学, 工学部, 助教授 (70207918)
信原 幸弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10180770)
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キーワード | 身体 / 状況 / コネクショニズム / ダイナミック・システム / 心の理論 / アフォーダンス |
研究概要 |
本研究は認知プロセスを身体、さらには心脳同一説のように脳へと同在化させる従来の見解に対し、認知主体を身体と環境からなるダイナミックなシステムとしてすべきであることを、支給された研究費補助金により購入した資料の分析を通じて、さまざまな側面から明らかにした。 研究代表者研能川は語用論を会話参加者についての「心の理論」として分析したうえで、システム論におけるコミュニケーションのモデルが開く、「表象」ではなく「行動」として言語を理解することの可能性について研究した。その成果の一部は研究費補助金の国内旅費により、日本科学哲学会第34回大会(平成13年11月18日、専修大学)でのワークショップ、「非字義的表現にする意味論およびその哲学的背景」において発表された。また研究分担者信原はコネクショニズムの見地から心脳同一説の難点を指摘し、認知は脳、身体、環境からなるシステムによって担われると考えるべき根拠を明らかにした。また研究分担者中村はシミュレーション説が指摘する共同注意といった現象の哲学的含意について研究し、認知意味論をその観点から再構成することにより、言語的意味が間主観的に生成する局面を把握することを主張した。研究分担者河野はギブソンの生態学的知覚論に存在論的な基礎を与えるうえでメルロ=ポンティの哲学が大きな示唆を持つことを示すとともに、メルロ=ポンティの言語理論を「全体的行動主義」として解釈しなおし、言語をダイナミックな環境・状況の中での主体の行動という観点から理解しなおすべきであると主張した。中村および河野の研究成果の一部は、河野および研究代表者能川が企画した第7回メルロ=ポンティ・サークル大会(平成13年9月22日、早稲田大学)でのシンポジウム「身体とことばの発達-話者の言語学とメルロ=ポンティ」においても発表されている。
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