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2000 年度 実績報告書

唐代儒道仏三教交渉史上における宗密教学の研究

研究課題

研究課題/領域番号 12610014
研究機関新潟大学

研究代表者

中西 啓子  新潟大学, 人文学部, 教授 (00143743)

キーワード宗密 / 原人論 / 円覚経 / 一心 / 一気 / 唐代の三教論
研究概要

今年度は二点のみを指摘しておく。第一に、宗密の「原人論」の冒頭では儒道二教の万物生成過程が、虚無大道→自然→元気→天地→万物とまとめられ、以下にこの順序で(1)虚無大道(2)自然(3)元気(4)天命(天地)に対する批判がなされる。また、これと同一の万物生成過程を説く文章が宗密の主著『円覚経大疏』(続蔵1-14-2,163a)にも見えている。ただしそこでは(1)道(2)天命(3)自然(4)元気の順序で批判がくりひろげられる。両者を比較すると、「原人論」のほうが形式的には整理されている。「原人論」の撰述時期については不明であり、823年に成立した『円覚経大疏』との前後関係が問題にされてきたが、こうした点からも、「原人論」は『円覚経大疏』が著された後、宗密の思想の円熟期に「禅源諸詮集都序」とあい前後して撰述されたものとするのが妥当であろう。第二に、「原人論」ではその序文で仏教を中心とする三教一致論を説いて、儒道仏三教ともに聖人の教えでおり、勧善懲悪によって治世に資することでは一致すると言う。このように治世における三教の役割を問題にすること、さらには周知のように人天教を説く部分で五戒と五常を同一視することなどから、初唐の法琳の三教諭との関連が推測される。また宗密は儒道二教の根本を「一気(元気)」にまとめて仏教の「一心」に対置しているが、この「一気」という考え方も北周の道安「二教諭」や法琳『弁正論』の流れを汲むのではないかと推測される。宗密の三教諭と関連するものとして唐代の三教諭のなかでは法琳にも留意しておく必要があろう。そこで法琳『弁正論』についての私見の一端のみ論文「『弁正論』と三論教学」(『三論教学と仏教諸思想』所収)として発表した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 平井俊榮博士古稀記念論文集刊行会 編: "(平井俊榮博士古稀記念論集)三論教学と仏教諸思想"春秋社. 705 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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