計画調書に記載した年度別の計画は、平成12年度 『春秋正義校勘記』の作成 平成13年度 『春秋正義』を中心とする『五經正義』の語彙・語法に関する研究の発表 平成14年度 『春秋左伝注疏』(巻二・三・四)訳注の作成 であり、本年度の研究は『春秋左伝注疏』訳注の作成、これと並行して、『春秋正義』を含む『五経正義』の思想・特徴等に関する諸問題についても、継続して発表すること、以上の2点であった。 一昨年の『春秋正義校勘記』の作成、「五経正義語彙語法箚記(五)」「読五経正義札記(二)(三)」を承けて、昨年度も予定をほぼ実行し得た。すなわち、「読五経正義札記(四)(五)」を発表した。これは中国で出版された李学勤主編『標点本十三経注疏』簡体版・繁体版の紹介と批判である。『標点本十三経注疏』は経学分野における画期的業績であるが、拙稿によって、その価値と問題点が明らかになったことと思う。と同時にこれまでの、そしてこれからの筆者の研究の意義を再確認できるものでもある。なおこれは中国語訳して『中国哲学』誌の第24輯に発表した。本年度は以下の計画を実行し得た。 ○「読五経正義札記(六)」として、台湾の國立編譯館主編『分段標點本十三經注疏』を検討した。中国・台湾双方で「十経三注疏」の標点本が公刊されたのであるが、筆者はその不備を少なからず指摘し得た。この不備を補うべく、研究計画には無い筆者の「校定文」を作成することにした。したがって本年度の訳注は巻二にとどまった。 ○「訳注春秋左傳正義 巻二」 ○「春秋左傳正義校定文 巻二」 ○「春秋左傳正義校勘記 巻二」 以上に「読李学勤主編之《標点本十三経注疏》」(日文版)を附して、「研究成果報告書」を作成した。
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