当初の計画の通り、本年度の研究は当該研究分野における先行研究を収集・整理することに重点を置き、収集した文献をコンピューターに入力して、ブリオグラフィーの作成を開始した。当初予想したように、世界中の諸民族の死者儀礼と死者崇拝に関する文献は膨大な量にのぼるが、比較的古い段階からそれらを比較し、共通のパターンを抽出しようとする研究は存在していたと言える。本年の整理でわかったのは、比較研究の視点から編集された論文集(共同研究やシンポジウムの発表原稿を集めたものが多い)がコンスタントに出版されてきたという点である。それらの論文集は一定の関心を共有しつつも、時代の推移とともに重点の推移を看取することができ、死に関する研究者の側の関心の推移に死をめぐる状況の変化が反映していると言える。内容の摘記とともに研究書を時代順に並べることによって、そのような研究の関心の推移を浮かび上がらせることも可能であろう。 整理の過程で、ワープロソフトとWWWソフト、データベースソフトを連動させることにより、情報を素早く検索する方法があることに気がついた。研究終了時の報告書においては、印刷媒体だけでなく、磁気媒体による報告も可能であるかも知れない。 本年度は先行研究のコピー(書籍として入手することが困難なもの)が思ったように進展しなかった。来年度においては、その点を踏まえ、より総合的に文献を収集し、整理することを計画したい。また、限定した地域に限り実際に調査を行い、死者儀礼に関わる情報を集めたいと考えている。
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