研究課題/領域番号 |
12610031
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研究機関 | 国学院大学 |
研究代表者 |
井上 順孝 国学院大学, 日本文化研究所, 教授 (80011386)
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研究分担者 |
岩井 洋 関西国際短期大学, 助教授 (30269956)
市川 誠 立教大学, 文学部, 助教授 (60308088)
磯岡 哲也 淑徳大学, 社会学部, 教授 (90201920)
津城 寛文 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (30212054)
佐々木 裕子 白百合女子大学, 文学部, 講師 (60286888)
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キーワード | 宗教教育 / 日韓比較 / アンケート調査 / 宗教系学校 |
研究概要 |
日韓の宗教教育の比較のため、日本と韓国の大学生・専門学校生を対象にした宗教意識に関するアンケート調査を行った。日本では42の学校で6,483名の有効回答、韓国では12の学校で2,160名の有効回答を得た。日韓の宗教に対する態度は異なる面と似た面がある。信仰をもつ者の比率は韓国が日本の約4倍であり、宗教家に対する信頼度も韓国の方が高い。日本では宗教のイメージが韓国よりも悪いことが明らかとなった。一方、オカルトや超常現象、あるいは占いなどへの関心は、両国においてかなり似通っている。また先祖祭祀など民俗宗教への関わりも約半数が保っており、これも似ている。こうした結果は『日韓学生宗教意識調査報告』として日本語と韓国語で公刊した。 日本と韓国の宗教教育の歴史と現状を比較考察するために、本研究のメンバーが主体になって、平成13年2月に韓国のプサン市にある東西大学校において、国際シンポジウムを開催した。韓国と日本の戦後の宗教教育の展開で大きな相違点は、宗教系の中学、高校への入学が生徒の意志によってなされるものではないという点である。これは「平準化」と呼ばれる韓国の教育制度によるものである。つまり仏教を信じる家の生徒がキリスト教の学校への入学が指定されたり、その逆が生じたりするのである。そこで宗教立の学校における宗教教育のあり方について、国家からの指導が強まることになる。各学校での宗教教育が一般社会を意識したものになる一方、宗派の理念に従った自由な教育がやりにくいという不満も生まれている。 これは日本にはない問題であるが、実際の授業形態はかなり似ていることが分かった。宗教教育は宗派の問題であると同時に、社会教育という面ももつので、そのバランスが今後の宗教教育においては、とくに重要になる。
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