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2001 年度 実績報告書

想像力に関する近代倫理思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 12610032
研究機関岩手大学

研究代表者

池田 成一  岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (50193199)

キーワード想像力 / スミス / フッサール
研究概要

今年度は、(1)「想像力」をめぐる一般的問題状況(2)スミスおよびルソーに至る17,18世紀の「想像力論」と近代市民社会の発展との関連(3)カント、フィヒテからドイツ・ロマン派に至る「想像力」論の新展開(4)フッサールにはじまる現象学を中心とした「想像力」論の現代的位相、について資料収集と分析を行った。
その結果、特に浮かび上がってきた論点(仮説)として以下のものが挙げられる。
1、「想像力」を総合の能力とするか、分解・分裂の能力とするかの対立(ジジェク)、象徴主義的に豊饒化とするか、サルトルのように貧困化とするかの対立が重要である。
2、スミスに典型をみる、市民社会の倫理的基礎としての「想像力」は、19世紀にはロマン主義によって芸術的天才的な「創造的想像力」に主役を譲ってしまったが、フッサールの他者論は、スミス的問題設定を再評価する視点を与える。しかも、フッサール他者論についての現代の論争をみれぱ、そこにスミス対ルソーの問題がより複雑化されて再現されているとも考えられる(例えぱデリダのレヴィナス批判)。
3、想像力」に生きる日常的視点と、「(神の)見えざる手」としての超越的視点というスミス的分裂と、フィヒテの「想像力」論から発展した「ロマン主義的イロニー」における有限と無限の分裂との連続性と差異性の問題が、18世紀と19世紀の「想像力」論の関係を把握する上で重要である。
4、この分裂をはらんだロマン主義的「想像力」は、19世紀後半にはディルタイの解釈学によって、「象徴主義」的なものへと回収されてしまう。サルトルの「想像力」論は、それに対する批判であると考えられる。
来年度は、以上のような論点(のいくつか)を深め、論文化を図りたい。

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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