研究課題/領域番号 |
12610033
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅野 覚明 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70186170)
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研究分担者 |
鳥居 明雄 都留文科大学, 文学部, 教授 (50137056)
湯浅 弘 川村学園女子大学, 人間文化学部, 助教授 (10230608)
竹内 整一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80107515)
木村 純二 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (00345240)
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キーワード | 会津藩 / 保科正之 / 山崎闇斎 / 吉田神道 |
研究概要 |
本研究は保科正之入部から明治中期に至る会津の地域文化を倫理思想史的に捉え、いわゆる「地方気質」が生の目的や道徳意識といった倫理思想の形成とどのように関係しあっているかを明らかにすることを目的とする。 研究最終年度である本年度は、一般に「会津気質」と呼ばれるものを倫理学的に記述し、あわせて地域倫理思想史の方法的標準を構築することが計画されていた。そのために、数回にわたる合宿などを通じて研究のとりまとめを行い、結果、以下のような知見が得られた。 即ち、一般に「会津気質」と呼ばれるものの根底には、近世会津において成立した神道と儒教(朱子学)を不可分のものと捉える思想が根付いているが、その思想の内実は、まさに会津藩の成立という歴史的過程と密接な構造的連関を持つものであった。 そして、より広く捉えるならば、このことは近世の幕藩体制の成立が、古代中世的な中央(朝廷)と地方という二項図式とは異なる「地方気質」の形成をもたらしたものであることを意味しており、その点に、地域文化を倫理思想史的に考察するための一つの指標を見ることができる。今後、幕末の復古思想に多大な影響力を持った水戸学の思慮を、水戸藩の成立の歴史的過程と連関させて考察することで、地域倫理思想史研究という新たな分野の確立を試みた今回の研究成果が、より一層深められるであろう見通しが得られた。 以上の成果の一部を論文等において発表し、また、冊子体の報告書が平成15年5月にできあがる予定である。
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