研究概要 |
本研究は東方・ギリシア教父という西洋の思想史の一大源泉たる伝統にあって,盛期と後期とのそれぞれの代表者,ニュッサのグレゴリオスとマクシモス・コンフェッソルを取り上げ,諸々の自然・本性(ピュシス)および人間が,全体として,無限なる神(存在そのもの)の受容と,その全一的なかたちでの顕現に向って開かれた動的な構造を,主要著作の吟味・探求を通して明らかにしようとするものである。それは又,現代における人間と自然との共存の脅威の問題に対して,その根底に潜んでいる問題位相を捉え直し,将来への指針ともなるべきものとなることを目指している。具体的な実績としては,『東方教父における超越と自己』(創文社,2000年)にまとめられた研究をもとに,とりわけ,後期の集大成者たるマクシモス・コンフェッソル研究を遂行している。
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