当初の予定で本年度は、弘前藩・秋田藩関係の研究を推進するはずであったが、実際は関連史料の収集(叡山文庫・国文学研究資料館・国立公文書館内閣文庫等)にとどまった。この点、13年度には遅れを取り戻すよう努力したい。 一方で、東照宮そのものの様態調査に多く精力を割いた。特に、徳川家康の年忌をめぐる宗教儀礼に注目し、関連資料を精力的に収集し、その政治的・宗教的な分析に着手することができた。一端は、2001年1月の東北近世史研究会において口頭発表し、要旨を同会発行の学術誌に掲載予定である。さらに論文に仕上げるとともに、関連資料の翻刻を本研究の報告書に掲載したいと考えている。 本年度は加えて、福島県いわき地域の浄土宗・真言宗寺院の調査に参加し一定の成果を得た。同地域は茨城県北部(旧常陸国)との交流を通じ宗教者のネットワークを形成する一方で、東北地方独特の教学形成も見られた。調査を通じて中央の教学の広がりを確認できたのが今年度の成果であり、その一端は2001年6月に口頭発表を予定している。一方、地域教学の独自性については、今年度設備備品として購入した書籍を活用し、さらに調査を進めて分析を試みていきたい。
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