平成12-13年度の二年間の研究活動とその成果は、以下の通りである。 1.東北地方の諸藩の東照宮祭祀について、秋田藩の事例(主に藩主を対象とした)を整理し、論文「秋田藩の東照宮祭祀」を作成した。また、弘前藩と仙台藩の関係史料を収集した。 2.地方(諸藩)の東照宮祭祀の特徴把握のため、中央(幕府)の祭祀実態を調査し、家康年忌儀礼を対象とした口頭発表「徳川家康年忌儀礼の研究」を行った。また、その関連史料の翻刻を報告書に掲載した。 3.近世の東照宮祭祀を研究する前提作業として、寛永寺教団の動向に関する調査を行い、口頭発表「『暁誉覚書』の仏教治国論」を行い、同名の論文を作成した。また、その前提となる史料を翻刻し、その関連で近世の天台僧である乗因の関係史料も翻刻し、史料集『戸隠』(一・二)を刊行した。その作業を通じて明らかになった点について、口頭発表「戸隠修験の東国伝播」を行い、また「寛永寺関係人物一覧」を作成して報告書に収録した。 4.近世の寛永寺教団の動向を解明するため、同時期の増上寺教団の動向を調査した。その結果として、口頭発表「徳川王権と東照宮」を行った。その発表原稿を、報告書に収録した。 以上の成果にもとづき、次の段階として、弘前藩および仙台藩の東照宮祭祀に関する論文、徳川家康年忌儀礼に関する論文、戸隠修験に関する論文、の作成を予定している。
|