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2002 年度 実績報告書

イメージとその記憶の分析に関する方法論の思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 12610042
研究機関東京大学

研究代表者

田中 純  東京大学, 大学院・情報学環, 助教授 (10251331)

キーワードアビ・ヴァールブルク / 図像学 / イメージ / ヴァルター・ベンヤミン / 精神分析 / 記憶 / ルートヴィッヒ・クラーゲス / 美術史
研究概要

本年度は今までの研究テーマのなかから、次の点についてさらに調査・分析を深め、研究全体を有機的に関連づける作業をおこなった。
1.ヴァールブルクの思考をルートヴィッヒ・クラーゲスの『魂の敵対者としての精神』などにおける議論と比較し、ジークムント・フロイトやカール・ユングの精神分析を視野に収めて、イメージと記憶、あるいは近代における「古代の再生」といった問題を中心に、世紀転換期から1930年代にいたる時代のドイツ文化圏の思潮について、イメージ論の観点から思想史的な分析をおこなった。これによって、クラーゲスもその一端を担ったバッハオーフェンの母権論思想復活の動向をはじめとする、この時代のドイツ思想における神話的イメージの大きな役割が見出された。また、ヴァールブルクの思想とヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論』との比較対照を通じて、このいずれもがその背景にゲーテ自然学、とくに形態学の思想をもっており、同時代の思想に幅広く同一傾向の見られる点が明らかとなった。
2.ヴァールブルク晩年のプロジェクトである図像アトラス「ムネモシュネ」について、そこに集められた図像群の織りなすネットワークの構造解析の作業を引き続いておこなった。これによって、「ムネモシュネ」におけるイメージ記憶の圧縮と変容の操作が精神分析が解明した「夢の仕事」に対応している点が仔細に検証されるとともに、イメージ記憶の連鎖が一定のテーマを中心に、パターン化された配置関係において把握されていることが見出された。さらに、「ムネモシュネ」におけるイメージの系統樹的な配置方法のなかにも、「像」のメタモルフォーゼを通じて生命の「原型」を直観しょうとする、ゲーテに遡る自然学の影響が確認された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 田中 純: "死者たちの都市へ--敷居の技法"10+1. 27. 2-10 (2002)

  • [文献書誌] 田中 純: "類推的都市のおもかげ--ノスタルジックな形態学"10+1. 28. 2-10 (2002)

  • [文献書誌] 田中 純: "アウシュヴィッツからの頓呼法--悪夢への目覚めをめぐって"10+1. 29. 2-12 (2002)

  • [文献書誌] 田中 純: "時を建てる--WTC、ザクセンハウゼン、伊勢神宮"10+1. 30. 2-12 (2003)

  • [文献書誌] 田中 純: "未生の者たちの記憶--ダニエル・リベスキンドと伝統"批評空間. III・4. 105-119 (2002)

  • [文献書誌] 田中 純: "小人の囁き--ベルリン1902-2002"ユリイカ. 34・15. 153-159 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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