日本プレ近代思想の系譜関係を再構成するため、研究代表者(橋爪)ならびに研究分担者(加藤)は、第一に、基礎文献資料の収集および整理・解読を行なった。この作業は平成13年度も継続する予定である。収集の範囲ならびに対象は、両者のあいだで分担し、随時研究交流を行なって進行状況を調整した。ここまでの研究の一部は、橋爪『宗教社会学入門』(近刊)として発表する予定である。 第二に、日本近代化のプロセスにおけるプレ近代的要素を確定しておくために、いわゆる天皇制問題について集中的に掘り下げ、研究討議した。この成果の一部は、加藤・橋爪・竹田『天皇の戦争責任』として刊行された。こうした日本的近代化を可能にし、同時に制約する要因として、儒教、国学、仏教における思想的系譜の洗い出しと絞り込みを、次年度以降に行なう予定である。 第三に、政治的権力と社会の生活実態に関する理論的な基礎研究を進め、言語ゲーム論にもとづく新たな分析方法について展望をえた。この成果の一部は、橋爪『言語派社会学の原理』として、刊行された。また、両者の主宰する研究会でも発表・討議された。
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