日本プレ近代思想の系譜関係を再構成するため、研究代表者(橋爪)ならびに研究分担者(加藤)は、初年度に引き続き平成13年度も、基礎文献資料の収集および整理・解読を行なった。この作業は、予想以上に大がかりな作業であったため、平成14年度も一部継続する予定である。ここまでの研究の成果の一部は、橋爪の『政治の教室』に盛り込まれている。 第二に、平成13年9月に発生したイスラム主義過激派によるアメリカ同時多発テロを受け、イスラム過激派と明治維新を主導した尊皇攘夷思想とが、欧米思想に邂逅したのちの反動形成として共通点をもつのではないかという、新たな仮説をつけ加えることとなり、この方面での文献の収集や検討の作業を並行して進めた。 第三に、日本近代を可能にした要因としての儒学、国学、仏教における思想的系譜については、すべてを網羅的に精査するかわりに、いくつかの要因にフォ-カスを定めて掘り下げた究明を行なうほうが有効であろうとの感触をえ、鋭意検討中である。
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