日本プレ近代思想の系譜関係を再構成するため、研究代表者(橋爪)ならびに研究分担者(加藤)は、初年度、次年度にひき続き平成14年度も、基礎文献資料の収集ならびに整理・解読を行なった。この作業は、膨大なものとなったが、ひとまず完了することができた。このデータを踏まえ、橋爪と加藤のあいだで、可能ないくつかの作業仮説について繰り返し討論を行なった。 第二に、西欧文明と遭遇した非西欧文明に共通する反動形成として、日本プレ近代思想を再構成する仮説について、さらなる分析と考察の作業を進めた。この成果の一部は、橋爪が構成出演したテレビ番組シリーズ「知らないでは済まない宗教の講座」(東京財団)や、橋爪大三郎・島田裕巳『日本人は宗教と戦争をどう考えるか』(朝日新聞社)に盛り込まれている。 第三に、日本近代を可能にした要因としての儒学、国学(本居宣長、平田篤胤ら)、仏教における思想的系譜については、以上すべてを総合するかたちで、さらに先鋭な掘り下げ研究を行ないつつあり、その成果を問うべく、近く公開のワークショップを行なう準備を進めている。この準備には、さらに数力月から半年あまりを要する見込みである。
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