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2000 年度 実績報告書

スペキエース、幾何光学を用いるルフス、ベーコン、オレームらの認識論の系譜

研究課題

研究課題/領域番号 12610046
研究機関大阪府立大学

研究代表者

中村 治  大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (10189029)

キーワードオレーム / ルフス / トマス / アリストテレス / アルハーゼン / ベーコン / スペキエース / 幾何光学
研究概要

リチャード・ルフス(1259年以後に没)は、感覚認識、知性認識の仕組みを説明するのにアリストテレスを用いた西ヨーロッパにおける最も初期の人であった。しかし彼はアルハーゼンをまだ知らない。そのルフスの認識論においては、瞳の中における光が見ることにおいて大きな役割を果たしているということが特色である。ルフスは「動かされるものよりも動かすものの方が高貴である」と考え、それゆえ「感覚されるものが感覚にはたらきかけることはありえない」と考えたのである。14世紀のニコル・オレームらは、アルハーゼン、ヴィーテロなどの影響を受け、「見ることは対象から作用を受けることによって起こる」と考えるようになる。またルフスは、認識の結果、媒体、感覚、知性において産みだされるスペキエースがそれ自体、可知的であると考えている。それに対して、13世紀後半のトマス・アクィナスは、スペキエースがそれ自体認識されうるとするなら、いかなる認識も偽とならないであろうと述べ、ルフスのような考えに反対するし、14世紀のオッカムは、スペキエースが認識において何らかの役割をはたすということを否定する。しかしスペキエースについてのルフスの考えは、オレームにおいて、幾何学化されて生き残る。
また、中世認識論・中世自然学が前提としている「下界への天界の影響」説にも取り組んだ。「下界への天界の影響」説は、トマスなどにおいては、元素的な質との関連におけるいかなる説明によっても説明できないものを説明するための、最後の手段のような役割をはたす。しかし14世紀のオレームになると、天界の影響を図形で説明し、数学的調和へ還元していくという試みがなされるようになる。なお、オレームの天界論、認識論の考察は、ウィスコンシン大学で写してきたPeter Marshallらの博士論文(オレームのテクストを校訂している)なしには進めえないものであった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 中村治: "リチャード・ルフスの認識論"中世哲学研究. 第18号. 11-20 (2001)

  • [文献書誌] 中村治: "中世自然学の前提-下界への天界の影響"大阪府立大学紀要. 第49号. (31)-(40) (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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