平成11年度に、私は1年間ドイツに滞在することが許され、文献の収集、その地の研究者との交流、ヨーロッパにおける中世研究の理解などについて、みるべき成果があった。平成12年度は、11年度に持ち帰った種々の資料の整理と、そのいくつかの読解にとりかかった1年である。特に、サン・ヴィクトールのリカルドゥスについては、13年度中に研究発表したいと考えている。 トマス・アクィナスについて、水波朗・稲垣良典編『自然法と宗教2』(創文社)に、「トマスにおける観想的生活と活動的生活」と題して寄稿した。これはキリスト教的修道生活の理想であった「観想」contemplationの位置づけをめぐる論考であり、中世修道院神学を研究するためには、どうしても学ぶ必要があった。それと関連して、トマス・アクィナス『神学大全』第23巻を稲垣良典教授と共訳で翻訳した。これは近日中に創文社より刊行予定である。
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