2000年10月7日、京都市立芸術大学で開催された美学会全国大会において、「昆虫的想像力と文化の気象学」と題した研究発表を行った。内容は、テクノロジーとアートの現状をタイトルにある二つの操作概念を用いて分析したものであり、会場から大きな反響を得ることができた。この研究発表の原稿は、本研究者が分担研究者として参加しているもうひとつの科学研究費研究、京都大学大学院岩城見一教授を代表とする「美学と病理学」の報告書に掲載された。また、本発表における「昆虫的想像力」は、研究者が大規模な国際的現代美術展である第一回横浜トリエンナーレにて、椿昇氏と共に作家として展示する設置型美術作品「インセクト・ワールド」のコンセプトとして、使用されている。 12月17日、水戸芸術館におけるTVゲーム展の関連企画である「トークショー:メディアアートなんて?!」にて、インターコミュニケーションセンター副館長であり美術評論家である中村敬治氏と公開対談。メディアアートの現状をめぐって二時間に渡って議論した。 3月3日、東京大学文学部で行われた美学会東部会において「メディアアートという"現象"を読む」と題した研究発表を行う。この内容はテクノロジーとアートの関係と、さまざまな名称で呼ばれてきたテクノロジーアートやメディアアートを1950年代から振り返るとともに、今後の展望を考察したものである。 これらの研究を進めるに当たって、山口県萩市、京都市、米国ニューヨーク市などで行った関係者との情報交換や資料収集がきわめて有益であり、本研究の進行を助けてくれるものであったことを付け加えたい。
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