通常「星座」と理解される「コンステレーション」の概念は、その本来的意味に立ち戻ってみると、構成素の「編成(グループ化)」を意味する。その点で、認知の機構もしくは芸術の制作にとってきわめて本質的な概念にほかならない。この概念は従来見過ごされてきたものの、現象学やゲシュタルト心理学の登場、あるいはキュビスムや抽象絵画の出現など、認識の風景ならびに芸術の哲学が伝統的地平の破棄的変革を志向した20世紀初頭のヨーロッパにおいて、きわめて重要な焦点となっていた。とりわけ、心理学の「連想(連合)」と造形美術における「コンストラクション」を共約する点が示唆深い。 以上の研究関心にもとづいて、第1に、ゲッティンゲン・グループの現象学的心理学者カッツが色覚を触覚から解明する立場に注目した。第2に、画家クレー、バウハウスの芸術家たちの一次資料を国外アーカイヴにて実地に調査し、ポスト・コンポジションの模索をとくに感覚論の組み替えという視点から再構築を試みた。 こうした研究から、「視覚」表象と総括されがちなイメージの機構はむしろ触覚や身体の運動の次元から把握されるべきであるとの見解にいたった。これらの研究成果は、資料の整理とともに来年度にかけて発表してゆきたい。
|