研究初年度にあたる本年は、フランス、チェコ、ハンガリーの主要な図書館・博物館・古書店を対象に、古刊本の収集と文献資料の調査・研究を行い、画論、技法書、建築論、古代遺跡誌、地誌、古銭学、エムブレム・ブック等に関する書誌学的なデータをおよそ五百件積み上げることができた。これらはすべて文字情報としてコンピュータに入力され、既存の千二百件の書誌データと併せ、累積総数は約千七百件に達している。 これと並行して、すでに入力されているデータの平準化に予想外の人力と時間のかかることが判明し、重複データの整理と併せて、現在もなおデータの整理を行っているところである。そのため、写真撮影やデジタル画像入力は次年度以降の作業計画に回すことにし、文字情報のリファインに精力を傾けた。なお、現状では著者名、刊行年、ジャンル、解題、参考文献をデータベース検索のフィールドとして設定してあるが、検索の幅を広げるために刊行地と書肆についてのフィールドを付加することを検討中である。 実際にデータを入力する作業の中で、古い文献の標題や人名の記載について、、どのような方法を採用すべきなのか判断に迷うことも多く、これらについても次年度以降の検討課題として残されている。ひとつの選択肢として、インターネットでの公開を行うデータベースについては欧文の記述をそのまま残し、国内向けの出版物には欧文原綴を添えるかたちでの文献単位の解題を行うというやり方も目下検討中である。
|