研究2年目にあたる本年は、昨年と同様に、データベース化すべき一次資料の収集と関連文献資料の調査・研究を行い、画論、技法書、建築論、古代他誌、古銭学、エムブレム・ブックなどに関する書誌学的な情報をおよそ二百五十件積み上げることができた。これらはすべて文字情報としてコンピュータに入力され、すでにサーバーに蓄積されている約千七百件の書誌データと併せ、累積総数として約千九百五十件に達している。研究の端緒にあっては、概数にして三千件程度を想定していたが、今年度の調査・研究の結果、来年度の成果として期待されるさらに二百ないし三百件程度を付け加えることで、おおむね必要なデータを取得できるのではないかと考えている。これらと並行して、昨年に引き続き、既存のデータの平準化、ならびに重複データの整理作業を進めている。これについては研究者による文字情報のリファインが必要であり、研究補佐員の手に委ねることができないこともあって、多くの時間を費やさねばならないのが現状である。また、情報化の対象となる古文献は、フランス語、英語、ドイツ語、イタリア語、ラテン語、オランダ語など多言語にまたがっていることもあり、人名や地名の表記についての入力の難しさが、これまで以上に深刻なものとなっている。もっとも安定した情報ユニットは「西暦年」であることから、これまでのところは西暦年を検索指標にしてきたが、今後は著者名と刊行場所について表記の統一を図ることで、多元的な検索が可能なデータベースとすることにしたい。データベース用のソフトとして、これまで「ファイル・メーカー・プロ」を使用しており、蓄積してある膨大な文字データを扱うのにすでに困難を生じている。最終的な情報公開形態としては総合研究博物館の総合情報利用システムのサーバーからの発信がもっとも好ましいとの考えに立ち、最終年度に全データのハイパー・テキスト化を予定している。
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