研究概要 |
本研究は西洋美術史学の扱うべき諸資料のなかで、とくに18世紀末葉以前に刊行された画論・絵画技法書、建築論、古代遺跡誌、地誌、古銭学書、エムブレム・ブック等の古版本を対象に、それらのオリジナルの形状と出版の履歴を書誌学的に記述し、さらに古文献としての美術史的な意義について解題を施した上で、「西洋美術書誌学」の標題を冠した書目書誌解題集成を編み、データベースとして公刊することを目的とするものであった。研究の成果として、平成12年度-平成14年度科学研究費補助金(基盤研究C2)研究成果報告書『西洋美術史関連古文献の書誌学的研究』(総頁数51)を刊行すると同時に、総数にして1,605件の書目について書誌学的なデジタル・データベースを構築することができた。書影についてもデータベース内に約300件が取り込まれており、様々な検索に対応できるようになっている。この成果はCD-ROM化され、近い将来東京大学総合研究博物館学術標本データーベースの一部として閲覧可能となる。本研究によるデータベースでは、1)各年ごとの出版状況(何年にどのようの本が出版されているか)、2)著者名による検索(誰の本が何年に出版されているか)、3)出版履歴(ある本は何年に出版され、何年に重版されたり、異版されているか)、4)書影閲覧(どのような形状の本であったのか)、5)既存の書誌学的な参照書目(他の本で言及されているか)、以上の5点について客観的な情報を得ることができることを最終目標に掲げてきたが、これらの課題をすべてクリアすることができ、さらには出版地、発行言語等による検索、さらには書目解題などすべての文字情報についての全文検索も可能にすることができた。ただし書影の取り込みについてはいまだ充分な状態に至っておらず、文字データの定期的な更新と書影データの追加が今後の課題として残されている。
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