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2002 年度 実績報告書

ベラスケスとスペイン宮延画家の総合的研究-画家像,制度と社会-

研究課題

研究課題/領域番号 12610064
研究機関早稲田大学

研究代表者

大高 保二郎  早稲田大学, 文学部, 教授 (70118503)

キーワードベラスケス / トーレ・デ・ラ・パラーダ / ヴィラ・メディチ / ジョナサン・ブラウン / 宮廷肖像 / イソップ / デモクリトス
研究概要

我が国で初のプラド美術館展を記念して、国立西洋美術館にて「ベラスケスと宮廷肖像-出品作を手がかりに」(4月27日)と題して講演。ベラスケス宮廷肖像の伝統と革新を他の画家の宮廷肖像と比較して分析した。
5月、ベラスケス研究の権威、ニューヨーク大学教授ジョナサン・ブラウンを早稲田大学に招聘(国際交流基金文化人招聘事業短期)、「ベラスケスとイタリア」と題した講演を企画した(同翻訳は報告書に掲載の予定)。同教授は、ベラスケス絵画のイタリア化、という従来の通説に疑問を投げかけ、一定の距離を置く必要があることを主張した。また二点の風景小品《ヴィッラ・メディチ》が第二次ではなく、第一次イタリア旅行中の制作だとほぼ断定した。この二点の制作時期、および古典古代へのベラスケスの態度は、報告書にて言及する。
12月、ベルリン(Gemaldegalerie)での実地調査では現在、ベラスケス最初期の問題作《三人の楽師(トリオ)》について様式、保存状態を検討。科学的調査ではなく、他の初期作品との肉眼による比較に基づく見解として、同作は「修復の手がかなり入っているものの、色調、タッチ、画面構成、そして気分までもほぼベラスケスの真筆」と結論づけられる。また左端の少年が持つ楽器の弦が切れてほつれており、主題解釈に寓意性を授ける糸口となるであろう。一方、ドレスデンにある《ドン・フアン・マテオス》はプラド所蔵《彫刻家モンタニェースの肖像》とポーズ、薄塗りの画面、未完の手の描写などでほぼ同時期の作であることが確認された。
最後にプラド美術館では、王家の狩猟宮憇塔Torre de la Paradaの装飾プログラムのための資料を調査した。同建物自体も、建築物に関する資料も、まったく現存しておらず、唯一、手がかりとなるのは当時所蔵された絵画作品の目録のみである。この資料をもとに《イソップ》や《メニッポス》、また倭人や道化師、さらには狩猟服姿の肖像、くわえてルーベンスによる《ヘラクレイトス》と《デモクリトス》、オウィディウスからの諸場面などがどのように飾られ、その場で機能していたのかを報告書において考察する。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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