1.地中海世界から中央アジアまでのコリントス式オーダーのデータ・ベースを構築した。 2.データ・ベース作成により、同オーダーに関する諸問題点を明らかにし、それらの個別テーマの研究を深め、またその造形を通しての地中海世界国際関係の研究を行った。 3.オーダーの起源を考察し、葬祭と関係が深く強く聖的性格を帯びていることを解明した。 4.オーダーを造形タイプ分けし、さらにドーリス式、イオニア式オーダーとの対比からコリントス式オーダーの本質的特異性を明らかにした。 5.ギリシア世界でのオーダーの完成形であるアテナイのオリンピエイオンの柱頭の考察を、特にギリシア世界の小アジアの及びエピダウロスのトロスの柱頭との比較により行った。 6.同オリンピエイオン柱頭がギリシア世界からローマ世界へのオーダーの伝播の要でもあることを示し、ローマ世界のウィトルウィウス『建築十書』の「カノン柱頭」との比較により、その造形的本質とギリシア・ローマ国際関係の一側面を明らかにし、美術史学会全国大会で発表した。 7.同オリンピエイオンのローマ人建築家コッスティウスの設計能力に注目してギリシア・ローマ建築史の中に位置づけ、建築史学会全国大会で発表した。 8.都市ローマのPorticus Octaviaをオーダーの観点から東西国際関係の中に位置づけた。 9.東西文明の交差点キリキア地方のオルバのゼウス神殿のコリントス式柱頭の造形の考察を通し、この地でのセレウコス朝とプトレマイオス朝の国際関係を解明し、地中海学会全国大会で発表し、2本の論文として公刊した。 10.コリントス式柱頭をもつミレトスのブーレウテリオンをギリシア・ローマ・シリア国際関係の中に初めて位置づけ、ヘレニズム〜イスラーム考古学研究会で発表し論文に纏めた。 11.同ブーレウテリオンをミレトスの格子状都市計画の中に位置づけ、ヒッポダモス式都市計画について新知見を得た。
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