研究概要 |
本年度は特に,高活動傾向者の刺激追求傾向や衝動的傾向の性質を詳細にとらえる試みを行うとともに,高活動傾向児の動作の特徴を実験的に明らかにしようとした.高活動傾向者の不安全行動の基本的特徴は,その刺激追求特性などの人格的な特性や実際の運動動作にみられると予測し,自動車運転事態で高速運転傾向を示すドライバーの運転行動に注目した.また,このような基本的特徴は,高活動傾向児ではさらに顕著であると考えられるので,それを把握するための児童用動作検査を案出した.これまでの成果は学会などで報告してきた.以下に要約する. 1.本学キャンパスでの交通トラブル発生の人的要因を探ることを直接の目的として,キャンパス路での高速運転傾向を示すドライバーの運転行動を調べた.被験ドライバーのもつ刺激追求傾向や道路環境への危険意識,速度などで示される運転動作,心拍などの生理的指標でとらえられる身体活動の関係をドライバーごとに検討した.高速運転をする傾向のあるドライバーでは刺激追求傾向も概して高かった.また,高速が出やすい道路環境下では交感神経性の活動は比較的低いと推定できた. 2.注意分散傾向や衝動傾向の行動特性を明らかにするために,児童に適用可能で簡便な動作検査を考案した.この検査では,コンピュータモニターに表示する絵柄や外来音に対する,被験児のマウス・キー押し動作を従属変数としている.健常児や自閉症児などと多動児との比較を行った.その際,被験児の表情動作なども観察記録した.多動傾向をもつ子どもでも,必ずしもこの種作業の持続が問題になるわけではないことなどを見出した.
|