注意と像の消失の関係を調べる目的で、背景刺激(+)に埋もれたターゲット(/あるいは\)を、ターゲットが主観的に消失する潜時と同程度の潜時(約10秒前後)で実際に消失させ、これに対する検出反応時間を測定した。課題としては、単純検出と位置の同定課題の2種類を別々に実験した。得られた結果は、2つの課題とも従来の空間的注意の実験と相同で、注意を向けた側でターゲットの消失が起こったvalid条件での検出反応時間が向けなかった側でそれが起こったinvalid条件での反応時間に比べ促進していた。この結果は、従来の空間的注意実験と注意による像消失現象との方法論的相違点(1.注意を長時間にわたり特定の視野の部位に向けている、2.手がかりの有効性が50%で、被験者は能動的に注意を特定の部位に向けておくようにと要請されていただけで、そうすることによるなんらの利得がない)にも関わらず、得られた。従って、この結果は、予備実験で得られた注意によるターゲットの主観的消失現象が空間的注意の働きによるとする解釈により明確な根拠を与えるもとと考えられる。現在、注意による像の消失効果を再度確認するために、眼球運動の監視をしながら、背景条件を変え(背景要素の有無、ターゲットのpop-outの有無)た上で実験を行っているところである。
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