研究概要 |
目は心の窓といわれるように,目の動きから心理過程を推測しようとする試みは古くから行われてきており,人と人との対面場面でも目には注意がいく.本研究では,目の動きの中でも特にまばたき(瞬目)に注目し,選択的注意という心理過程を瞬目活動で説明するには,どのような手法で刺激を提示すればよいのかを明らかにしようとするものである.そこで,本研究では,視覚及び聴覚モダリティに対する注意の方向や量をコントロールするための刺激提示方法を開発し,実験を行った. その成果は,6月に発行された学術誌に掲載されたが(Fukuda,2001),二重モダリティ課題中の瞬目発生の様子を調べると以下のことが明らかになった. 1.聴覚モダリティに注意を向けているとき,聴覚刺激後,瞬目発生は変化し瞬目率ピークを形成する. 2.聴覚モダリティに注意を向けているとき,注意を向けていない視覚刺激後も瞬目発生は変化し瞬目率ピークを形成する. 3.視覚モダリティに注意を向けているとき,視覚刺激後,瞬目発生は変化し瞬目率ピークを形成する. 4.視覚モダリティに注意を向けているとき,注意を向けていない聴覚刺激後は瞬目発生は変動しなかった. このことから,どのモダリティに向けるかによって瞬目発生のパターンは大きく異なり,瞬目発生が選択的注意の生理的指標として有効であることが示唆された.
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